FC2ブログ

【仕事観】「氏橋 鉄也さん」奈良順子

JunkoNaraOffice 1489
氏橋 鉄也さん
英国「ブリティッシュエアウェイズ」キャビンクルー
(旧)スカイビジネススクール卒業生

スカイの卒業生は私にとって誰もが大切な教え子であり、全員に想い入れがある。

そんな中、飛び切り信頼できる卒業生がいる。

現在、ブリティッシュエアウエイズのキャビンクルーとして勤務している氏橋 鉄也さん。二十数年勤務の大ベテランだ。

彼が信頼されるには、幾つか理由がある。

ひとつは、彼ほど実直な人はめったにいない。彼は、当初、同航空会社に、正社員の空港勤務職員として入社した。 入社が決まった時に、私は彼にこう言った。言ったというよりも「言ってしまった」ということなのですが。。。

「空港勤務の新人になるのだから、2時間前位に出社しなさいョ。次の新人が入社するまでは」。

私は、次の新人が入社するのは、せいぜい半年後くらいだろうと気軽に考えていたのだ。

ところが、とんでもないことが起こってしまった。次の新人が入社したのが、数年後だったのだ。私はなんてひどいことを言ってしまったのか。 。。と内心悔いていた。

それなのに、彼は忠実に2時間前の出社を貫いた。いち早く職場に行き、仕事の段取りをし、事務所の掃除をし、先輩たちのお茶の用意までした。

何十歳も年上の大先輩たちばかりの職場だった。ベテラン社員たちは、そんな彼の姿勢を見逃さなかった。彼は空港勤務をこなしながら、「お茶の仕入れ係」まで担当するようになった(なってしまった)。しかし、どんな仕事も手を抜かずやり抜いた。数年後に次の新人が入社した時には、彼はどんなに安堵したことか。 それ以上にほっとしたのが私だった。

そんな彼に転機が訪れたのだ。

彼はもともとフライト職を希望していた。

空港勤務の仕事もしっかり身につけたころ、彼にチャンスが訪れた。ブリティッシュエアエイズが、初めて日本人男性クルーを採用することになったのだ。彼は難関を突破し、同社初の日本人男性キャビンクルーに抜擢された。そして、驚くほどの高給取りとなった。

当時は、こうした実直な青年の姿勢を高く評価し抜擢するという会社が多く存在した。まさに、厳しくも夢のある時代だった。

彼は、このように超「実直な人」なのだ。

彼を信頼できる二つ目の理由は、サービス業、人々を心から好きでいる、という彼の想いだ。

サービス業の醍醐味をよく心得ている。簡単に使われる「サービス」という言葉以上に、サービスの深さと喜びを熟知しているようにみえる。

彼はとても恵まれた家庭環境に育ち、特別フライト職に就かなくても、何時でも自分で企業を興せる環境にある。それでも、BAのキャビンクルー採用試験官などを歴任しながらも、フライトを続けている。国を問わず、人種を問わず、人間が好きだからフライト職に拘っているのだと思う。 そんな彼の姿を見て、サービスの醍醐味を本当に楽しんでいるのだ、と、反対に教えられることがある。

最後になるが、どんな時も自分の姿勢を貫くところがすごい。不況の影響でエアライン業界は厳しい現状にあるが、彼の姿勢はまったく変わらない。右往左往することもなく、サービスの本筋を貫いている。まさに航空業界の牽引者、芯となるリーダーなのだと思う。

このように、どんなに環境や状況が変わろうとも、サービスという本質を深く捉え、人々に対する姿勢を崩さないところが素晴らしい。

また彼は、スカイの後輩たちのこともどれだけ大切に育ててくれたことか。時間をかけ、苦労して自ら学んだサービスの醍醐味を体現し、後輩たちに伝え続けている。

実直で、人間が好きで、姿勢を崩さない。こうした彼の「仕事観」が、私を含め、多くの人たちの信頼に繋がっているのだと思う。

いつも謙虚な彼は、「とんでもありません。そんなすごいことはしていないです」なんて、いつものように、ハニカミながら言うだろう。だが、これからも、私に対しても、スカイの仲間に対しても氏橋君流の援護射撃をしてくれることと思う。

さて、こんなに氏橋君のことを褒めてしまうと、「順子先生、私は?僕は?」ということになるだろう。確かにそれは言える。

氏橋君をはじめ、皆さんは、ナショナル・フラッグキャリア時代の良き時代を知る最後の人たちなのだ。各国の文化の香りがする「航空業界」で、世界中の人たちに出会えたことに感謝して欲しい。そんな素晴らしい時代の体験が出来たことを誇りに、これからも航空業界をはじめ、どの世界・業界にいようとも、良き時代を思い出し、牽引し続けて欲しいと願う。

どんなに時代が変わろうとも、「良いものは良い」ということに確信を持って欲しい。そう出来る人が、真に輝く人なのだと思う。お金や、地位や、名誉や、形ではないんですよ。

氏橋君をはじめ、様々な分野で頑張っている皆さんの姿が輝いて見える。なんて素晴らしいことかと思う。奈良順子

2010/12/24
関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する