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【対談】「青柳 晴美」× 「奈良 順子」

「国際社会で仕事をするには、強い気持ちを持ち続けることが重要」-青柳

JunkoNaraOffice 1659

青柳 晴美さん
米国「ユナイテッド航空」フライトアテンダント
旧スカイビジネススクール卒業生

「国際社会で仕事を続ける原動力とは?」
奈良:
本日は、「国際社会で働く心構え」などを中心にお話を伺いたいと思います。青柳さんは現在、世界最大手といわれる米国「ユナイテッド航空」のフライトアテンダント、兼パーサーとして勤務されています。はやいもので、フライトをはじめて20年以上になりますね。疲れませんか?

青柳:
無我夢中で仕事をしているうちに、年月が経ってしまったように思えます。今のところ元気にしております。まだ無欠勤で頑張ってます。

奈良:
それはすごい!どの仕事も大変だと思いますが、フライト職で20年以上無欠勤なんて、すごいことです。とても重労働だし、時差はあるし、風邪は引きやすくなるし、腰痛も職業病ですね。そこまで頑張り通せた原動力って何なのでしようか?

青柳:
時には忘れてしまいそうになることもあるのですが…。やはり、初心の気持ちと感謝の気持ち、ではないかと思います。ある程度の年数を経ると、仕事にも慣れ、流れ作業的に業務をこなしている自分を発見してしまうことがあります。そんな時、厳しいトレーニングを終えて、初めてフライトに出た時の…その場にフライトアテンダントとして立っていることへの嬉しさや緊張、不安、感動の中で、これから一生懸命頑張ろう、と決めた当時のことを思い出して自分を律します。

奈良:
「初心」って、素晴らしいですね!初心には、希望や、すがすがしさや、感謝の気持ちが一杯詰まっています。

青柳:
自分は色々なことがありましたが、今でもこうしてフライトの仕事を続けていられるのは、本当にたくさんの人達のお陰だということを忘れずにいたいと思っています。私を採用して下さった会社、「ありがとう」と声を掛けてくださるお客様、いつも助けてくれる仲間や同僚、見守ってくれる家族、それ以外にも多くの方々に支えて頂いているから、こうして仕事を続けていられるのだと思います。それは本当にありがたいことですし、これからも大切にしていきたいと思っております。

「外国人と働くことの難しさはどんな点か?」
奈良:
実際にそうして国際社会でお仕事をしているわけですが、特に、他国のクルーと一緒にお仕事をすることは、厳しいこともありますね。青柳さんは、パーサーとして乗務することもありますが、外国人クルーと一緒に働いて大変だと感じるのはどんな時でしようか?

青柳:
それぞれの持つ常識、と言っては言い過ぎですが、あらゆるものに対する考え方の基準値の違いに直面することがあります。クルー同士の意思疎通がうまく図れない時には非常に苦労します。言葉が違い、それ以上に文化や習慣が異なるところから生じる考え方や物事の見方の違いは、国が違えば非常に大きなものとなります。

「アメリカ人クルーと日本人との違いとは?」
奈良:
アメリカ人のクルーと働くことが多いわけですが、例えばどんな時に違いを感じますか?

青柳機内クル―中

青柳:
例えば、保安の要素をひとつをとっても、アメリカのクルーは安全管理に絶対妥協を許しません。相手が会社にとってどんなに重要なお客様であっても、少しでも安全を阻害するような行為があれば厳しい態度で接します。ところが日本のクルーは、「恐れ入りますがご協力頂けないでしょうか?」というように、お伺いを立てる形で対応するケースが多くあるように思います。

奈良:
それは大きな違いです。

青柳:
アメリカ人のクルーにしてみれば、安全に対する意識が甘過ぎる、となりますし、日本のクルーにしてみれば、お客様に対する態度が厳し過ぎる、となります。お互いがどうやってお互いの考えを理解し合って歩み寄るか、そのプロセスの中で考えさせられる事が多くあります。

奈良:
どんな時もお客様を怒らせてしまってはいけないわけですから、同じく注意を促すのでも、そのタイミングとか、声のトーンとか、顔の表情とか、気を配らなければなりませんね。繊細に判断しなくてはならないでしよう。その兼ね合いが難しいですね。

青柳:
そのことはとても難しい点だと思います。アメリカ人クルーの中には、フライト暦20年、30年という人たちも多数います。母親に近い年齢のクルーも珍しくありません。逃げ出したくなってしまいたくなることもありますが、そこをぐっとこらえて指示を出さなくてはいけない時もあります。

奈良:
パーサーの任務に就くということは、客室全体の責任者になるということですね。ミーティングも、機内アナウスも、仕事の采配も、安全確保も、何にもかも全部英語で行うのですから大変です。それに、最終的には、自分で決断をし、指示を出していかなくてはなりません。クルーに指示を出してもうまくいかない場合、そんな時、どのように対処していますか?

青柳機内アナウンス

青柳:
きちんと話し合って理解し合えるようにしています。ただ、長時間かけてとことん話し合うことが最善の策であるかというと、必ずしもそうとは言い切れないと思います。緊急を要する場合と、自分なりに力を尽くした、と感じる場合には、引くところは引く、もしくはその場に応じて、パーサーとしての権限で強制終了してしまう、という方法も念頭に置いて対処しています。こちらが腹を決めて真剣に向き合うことで、相手もどうにかして理解しようと心を砕いてくれます。一貫して自分の中に強い気持ちを持ち続けることが大切だと思います。

「アジア諸国のクルーと日本人との違いとは?」
奈良:
では、どうなんでしよう。アジア諸国のクルーと日本人フライトアテンダントとの違いはありますか? 実際の仕事ぶりはどうでしよう。

青柳:
他のアジア諸国のクルーの方々は、同じ仕事をこなすのでも、そのスピードは目の見張るものがあります。勢いがあります。短い時間の中でたくさんの仕事を次々とさばいていくパワーがあります。一方、日本人クルーは、きめ細やかさですとか、几帳面さはとても素晴らしいと思います。実際に仕事自体も一つ一つきちんとしていますし、何をやってもとても丁寧に、しかも正確にこなしていくことができます。でも積極性が足りないようにも思えます。

奈良:
日本の木目の細かさや几帳面さは誇りにできることですね。世界でも類を見ないほど秀でている点だと思います。語学にしても仕事ぶりにしても、かつて日本人は国際社会で高く評価されてきました。しかし、近年はそんな元気さを受け継ぐ人材が、減少しているように思えます。木目の細かさ、几帳面という良さに加え、元気というか、自分の意見をはっきり述べるとか、何か、パッとした心の開放が必要です。海外では、「Yes」「No」をはっきり言うなど、自分というものをしっかり持つことが大切だと思います。てきぱきしていけば、もっとチャンスは広がりますね。エアラインのみならず、多くの雇用に繋がりますね。

青柳:
本当にそう思います。近年はそのことが不足しているのではないかと思います。 日本はたくさんの良さがあります。ただ、それをプレゼンテーションするだけのパワーなりエネルギーが近年は足りないのかな、と感じます。そこを克服していけば必ず以前のように日本人の良さをアピールしてくことが出来ると思います。

奈良:
英語なんて間違ってもいいから、大きな声でひとこと言ってしまえばいいんですよ。そうしたら吹っ切れる。

青柳:
ほんとにその通りです!

「なぜ、国際社会における日本人の採用が減少しているのか?」
奈良:
国際社会で働くことは、それだけ厳しいことだと思うのですが、ここ数年、日本人フライトアテンダントの採用が激減しています。海外のホテルなど、他の分野もそうなのですが、何故海外の企業は日本人を採用しなくなったのでしようか。その理由は何だと思いますか?

青柳:
以前に比べ、日本人でなければならない、という需要が少なくなってきていることではないかと思います。経済の流れも中国の発展に伴い、航空業界に限らず、他の産業においても、英語と中国語が出来る人を優先して採用しているように思えます。アジア諸国のクルーも実際に、英語を含め、3か国語・4か国語を流暢に話す人がたくさんいます。自分の母語でない言葉も、自信満々にハキハキ、大きな声で話をする、その積極性にはいつも驚かされます。

奈良:
特に、中国・インド・シンガポール・韓国をはじめ、アジア諸国の方々は、これまで、厳しい生活環境の中、歯を食いしばって勉強してきました。その成果を発揮するようになってきました。マレーシア・タイ・ベトナム・フィリピン・インドネシアなども若い人たちが、自分に付加価値をつけることに真剣です。複数の語学を使って、専門性を深めるところまで進化していますね。

青柳:
その通りだと思います。

「これからどのような人材の資質が求められると思うか?」

JunkoNaraOffice 1659

奈良:
これから益々グローバル化が進み、厳しい時代になると思いますが、エアラインに限らず、国際社会でお仕事をするにあたり、これからどのような資質が求められると思いますか?

青柳:
厳しい情勢だからこそ、本物の資質や能力が求められると思います。その人がどれだけのものを生み出すことができるのか、というとことが大きく問われてくるのではないでしょうか。一見とても厳しいように思えますが、学歴・年齢・性別・人種に関係なく、その人の持つ力でチャンスを掴み取れる、道を切り拓くことができる。これはとてもフェアーで健全な社会のあるべき姿だと思います。だからこそ色々なものを吸収して力をつけていくことが大切だと思います。

奈良:
その通りですね。自分が自分を育てる時代です。だからと言って、自分だけが良くなれば…といった、保身や拝金至上主義では情けないですね。最終的に自分を見失うことになります。もっと大切な能力のある人たちが求められる時代になるでしよう。それは、初心という原点を忘れない人、苦しい状況でも諦めない人、いつも学び続ける人、相手を思いやれる人、周りの人たちに勇気を与えられる人、自分の考えをきちんと述べられる人。そして行動できる人。そう考えると誰にもその可能性はあります。これからの時代を見据え、自信をもって頑張って欲しいですね!

青柳:
そう思います。必ず良くなっていくと思います。私も初心を忘れず頑張っていきたいと思います。

奈良:
どんなに時代が変わっても、文化がちがっても、サービスの 『本質』 は不変ですね。業種を問わず、顧客の身になってサービスを提供する、常に「プラスα」心のサービスを実践することが重要だと思います。そのことを徹底している企業はこれから伸びるのではないでしょうか。

青柳:
その通りだと思います。

奈良:
青柳さんはスカイビジネススクールの卒業生でもあり、フライトをしながら、スカイの後輩育成に大きく貢献された人です。苦しいことにも負けない人!青柳さんの謙虚に頑張る姿勢は、これからも多くの方々の励みになるでしよう。お忙しい中、今日はどうも有難うございました。

青柳:
私こそどうも有難うございます!

2010/12/20

                               
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